2011-04-29

これがジャーナリストだ!江川紹子だ!記者会見質疑 応答

新聞テレビといったマスコミが、安心・安全神話をまき散らし真実を伝えようとしない、まるで原子力村の広報室であるかのような現状では、わたしたちが真実にアプローチするための唯一の道はフリーランスの活動に委ねられている。Ustreamによるライブ映像とTwitterがかろうじてわたしたちの知る権利を保障している
記者会見において、切れ味鋭くことの本質に迫っていく江川紹子氏の質問は、はぐらかし名人揃いの回答者たちのごまかしを許さず事実を引出していく。クラブ記者たちの質問がいかに緊張関係のない馴れ合った、レベルの低いものであるかが浮き彫りにされた。江川氏によって緊張感のある質疑応答となった記者会見の模様は以下の通り。
(文字起しは@evoliumさん Togetterまとめは江川( @amneris84 )さん)

<<4月28日 統合本部記者会見>>
1.浜岡原発再開
江川:フリーランスの江川です。何点かあるんですけども、一つは、保安院の方にですね。今日、今流れているニュースで、浜岡原発のほうが、3号機ですか、7月をめどに再開するというニュースが流れております。 
以前、4月の21,22だと思いますが、保安院の検査も入られて、今月中に評価をするということだったんですけど、その評価を待たずにですね、こういう再開についてのプレス発表を行っているということについて、どのようにお考えかということとそれからその評価について、いつどのような形で発表されるのかということをまず教えて下さい。

保安院: 保安院では、今、各発電所について浜岡も含めてですね、緊急の安全対策、大きな津波で、全部の電源それから冷却機能等が消失した…失われてしまった時でも、なんとか冷やせる状態に持ち込むと、こういうことができるかどうか。
   それから、非常用のディーゼル発電機の台数がちゃんと2台、止まっている時でも、あるかどうか。それから電源系統全体が、こないだの東北で落ちたような形にならないかどうかと。この3つのポイントで今、対応してもらっておりまして、
それで、各発電所にお願い…お願い…指導しております。
それで浜岡については、そういうことを一応やったということですので、私どもの検査官が今仰ったように入って確認をしております。ただまだ結論は我々としては出しておりません。
これについては、こういう、この間のような大きな津波が来たことで、これだけの事故が起こっているわけですから、浜岡の関係の方々のご心配はさぞかしと思いますので、良く、皆さんに納得頂けるような評価をしたいと思っておりますので、まだ保安院として結論は出しておりません。
で、これ、いつだすかというのはなかなか難しくて、今そういうこともあるので慎重に考えたいと思っていますので。いずれにせよ評価した時にはきちっと、ちゃんと説明を当然申し上げるようなことになりますし、また地元へも、ちゃんとお話する必要があると思っております。ですから、今のところまだ結論は出てないし、それから、えー、いつということを今申し上げることは難しいという段階です。

江川: 結論が出ていないのにもかかわらず、7月めどに再開をと、こういうプレス発表までしたということは、どうお考えでしょうか。

保安院: ちょっと私もプレス発表をよく自分で見ていないのですけども、いずれにしても、そのことと実際にそういう風になるかどうかということは、話が別ですので、我々としては、もし仮にそういうことをされているとすれば、*
   それは事業者としてのご希望を表明されたということだろうと思いますけれども、それと実際にそうなるかどうかとは別だという風に考えております。

江川: ただ実際に調査があるにもかかわらず、その結論を待たずにですね、こういう何か、都内で開 催した決算会見で、明らかにしたということが報じられていますけども、その保安院の検査の評価も待たずにですよ、こういうことを公表するということについては、問題だとはお考えになりませんか。

保安院: 決算ですか…決算? 決算の…、いずれにせよ結論は今申し上げたようなことなので、そこでどう言うかに関わらず、実際に動かせるかどうかということとは別のことです、ということでありますので。あとはまあその、そういう状況において、決算で発表された内容というのを、決算のことであれば、決算関係の方々がどうとられるか、ということだろうと思います。保安院としては、そこは中部電力は、ちゃんと分かっていると思います。

江川: 「分かっていると思う」というのはどういうことなんでしょうか。

保安院: まだ、保安院の結論は出ていないし、そのことが出た上で、地元にもちゃんと説明して、ご納得頂けるかどうかというプロセスがこれからあるわけですので。そういうことが先にあるということは分かっていると思います。

江川: 特に問題は感じてないということですか。

保安院: 何を問題と思うかですけども、今のようなことが実態ですから、えー、一々会社がどうされたかということについて、こちらが、そこの内容を会社は良く分かっていると思いますから、一々のことについてコメントする必要はないぐらいかな、と思っています。

江川: それから調査しているのは津波だけですか。地震本体で…

保安院: 地震本体もです。もちろんそうです。

2.学校における放射線容量規制について 20mSv/年
江川: 分かりました。(次の質問に移る)
それから連日申し訳ないんですけども、福島の子供の問題なんですが、昨日の段階で確か、どういう方に助言を求めたのかということをお聞きしたら、本間先生と成田先生のお名前が出てこのお二人ということだったんですが。
私、本間先生にお話を伺いましたら、本間先生はこの20ミリという数字を出すことについては、「適切でないという風に申し上げた」という風に言われております。成田先生には確認はできませんでしたけども、そういうこと。あるいは昨日ですか、何かメーカーの方で、 この核戦争防止国際医師会議の方々だと思いますけども、お医者さんがですね、子供たちの許容線量が高すぎるのではないかという指摘をされました。こういったことを受けてですね、この数字について再検討をするということは無いのでしょうか。
あるいは、例えばその校庭の表土を除去すると随分変わるのではないかと、もちろんそういう処理の仕方について色々とまた揉めているようなので、容易ではないと思いますけども、例えば校庭の隅を深く掘ってですね、そこに取りあえず表土を入れておくとかですね、そういう方法も色々あると思うので、そういった助言をですね、なさるおつもりは無いか、予定というかそういう動きは無いのかということをお聞きしたいと思います。

原子力安全委員会(以下、安): はい。「20ミリシーベルト/年」につきましては、そういう枠組みで、文部科学省の方でスタートされて、私どもの方としても、それをよしとしたわけでございますが、この「20ミリシーベルト/年」につきましては、あくまで、それから下げる方向への、まあ出発点として設定しているものでありまして、そのまま、何ら低減努力をせずに放置し続けて良いというものではないと、いうことでございます。こういう時に達成可能な限り、被曝線量を低減させる努力が必要でありまして、もしも校庭等の空間線量率の低下の傾向が見られない学校等があれば、それは文部科学省、また地元、それぞれの学校等で、色々良く状況を把握してアクションを取ると…何らかのアクションを取るということを考えられるかと思っております。
原子力安全委員会としては、原子力災害対策本部に対しまして、学校等にそれぞれ一台程度、線量計を配布しまして、生徒の行動を代表するような教職員に着用させ、被曝状況を確認することを言ってございます。また児童生徒の被曝状況をフォローするために、二週間に一回以上の頻度を目安としてモニタリング結果を報告すること、いうことを求めておりまして、モニタリング等の結果に基づく評価の上、適切に文部科学省の方で対応してもらう、ということを期待致しております。

江川: 表土の件について、本間先生も勧めていらっしゃったけれども、特にそういう動きはないのでしょうか。

文部科学省(以下、文科): 本日、実は大臣の閣議後の会見でも、この手のご質問がありまして、大臣がお答えをしております。今、もともと今回の基準はですね、暫定的基準ということで始めております。これは新学期が始まってですね、

これはここの中でも述べています…さらに一学期間まず見てですね、モニタリングをしながらやって行く、ということなので、その後まだ更に必要な措置があるかどうか、暫定の基準を変えて行くということがあるかどうか、
それはまたモニタリングの結果なんかも見ながら変えて行くということはあるかもしれません。ただ、学校のほうの土壌の問題について、今日大臣が、午前の閣議で申し上げたことを申し上げれば、郡山市の方でこれが行われたということは、もう報道されている通りでございまして、これについては市の独自の判断として行われたものだと思っております。
校庭の表土の除去…土や砂を入れ替えなくとも安全の目安として、毎時3.8マイクロシーベルト未満であれば、平常通りの活動が出来る。3.8マイクロシーベルトを超えたところの校庭での活動については一定の制限、一日の内一時間に収めると、こういうことであれば…なお当然にして、できるだけ安全場所を確保するためには、手洗いやうがいをしたり、あるいは本の時は窓を閉めたり、あるいは屋内に上がる時は泥を落としたり…上がるとか、そういうことに留意すれば、今のままでも活動を行えると、そういう風に私たちは考えております。ただ大事なのはやはり継続的なモニタリング、目に見える線量測定をしっかりやらなければなりません。
もちろん状況の変化というのは、これは原子力発電所の収束を目指しておりますが、そういう意味では一日も早くコントロールされた状況に期待しております、という…同時に学校の先生方にも線量計を持って頂いて、安全の確保に心して行くということも重要でないかということを申し上げておられる、ということがございました。その中で、えー、まあ一方、ちょっとこれはご発言のあった中ではですね、地元との色々なお話とかですね…お話は今回やって行くということの必要性っていうのは言っております。従って、安全の確保ということで……
(以降映像から音声が消え、文字起こしできず)(暫く後の別の質問に移る)

3.原発事故の評価について
江川: 江川です。先程西山さんが、ちょっと仰ったことでですね、「今回のことは、どう考えても想定外の地震に襲われてこういう事態に陥っている」という風に仰いましたけども、未だに今回の出来事というのは、想定外のことが原因だという風に、お考えなんでしょうか。大分色んな指摘が今までも沢山あったこということは既に明らかになっておりますけども、それでもなお今回の事態は想定外のことが原因だと、こういうことですか。

保安院: その想定外のことが起こった時に、どう対応するかを予め考えておくべきかということとは別にしてですね、この地震自体を、あるいはこの大きな津波を予測できたかということについては、私は、国全体の見解ではないと思いますけれども、私自身の見解は、あの、想定外だったという風に思ってます。ただ、あの、その時にそういうものに襲われても、あのー、えー、あのー、その挽回する手立てというのは有るわけですから、そういうことをやっておく必要があったかどうかというのは、これはまた別の判断があると思います。

江川: 別の判断というと、どうですか。今の時点では、西山さん自身は、これはまずかったということなんですか。

 保安院: そうですね、今まさに各発電所にお願いしているようなことを…であっ…ぐらいを、せめてやって頂いておけば良かった、かなという風に思います。
江川: そうすると、それを十分にチェックできなかった保安院の責任というのはどういう風に考えていらっしゃいますか

保安院: それはあの、保安院も一定の責任があると思います。

江川: その「一定の」というのはどういう風にとらえたら良いんでしょうか。その、もの凄く責任を感じていらっしゃるのか、なんか今のお話だと、そうでもないような感じがするのですけども。

保安院: まーあの、それは非常に責任を感じていると言って間違いないと思います。

江川: じゃ、その責任をどういう風に表現をされるのでしょうか、保安院の方たちは。

保安院: まずあのー、今、次の事態を…まずはそうですね、そういう意味じゃ、今まさに細野事務局長にリーダーになっておられて、この事態を収めるところについて、我々も最大限の協力をするというのはまず第一歩ですし、それから、今動いている発電所もありますし、これからまさに、動かそうと思っている発電所、少なくとも電力会社の方としては動かそうと思っている発電所もあるわけですから、そいうことについてどう対応すれば良いかってことも考えて今、手を打っているわけですね。

江川: 今まで、ま、電力会社の言うことをですね、あまりにも鵜呑みにし過ぎていたという反省はあるのでしょうか。

保安院: 我々が電力会社の言うことを鵜呑みにしていたということは、私自身は無いと思っていますけども。

江川: じゃ、そういう面での反省は全くないということですね。

保安院: そこはあのー、えー…

江川: 厳しくチェックできなかったのは何故なんでしょう、じゃあ。

保安院: 我々は今までの知見に基づいては厳しくチェックしていたという風に思っています。

江川: じゃあその、保安院も、ま、認識が甘かったということなんですか。

保安院: それはそういうことがあったと思います。

4.20mSv/年についての本間先生の見解について
江川: 分かりました。(次の質問へ移る)

それからその、細野さんにですね、いらっしゃらなかった間に、いくつかのことが出てきたわけですけども。一つは子供の問題についてですね、昨日、安全委員会の方からお話があった、その○○の委員と二人の専門家の話ということで決めたということで、 実はその専門家の一人がですね、「自分はこれには賛成じゃなかった」ということをはっきり仰っていました。そういうようなことや、あるいは海外で、放射線関係の専門家の方、お医者さんがですね、この引き上げは20ミリというのは高すぎるんじゃないかと、いうような指摘もされているという報道もあります。そういうことを踏まえてですね、色々さっきから伺っているわけですけども、文科省はモニタリングをやって、今学期ですか、一学期様子を見てるような感じでですね、非常に見ていると対応がゆっくりな気がするんですけども、それについて、もう少し対応を急ぐようにですね、働きかけるとか、何らかされるということは考えていらっしゃらないでしょうか

細野: この、年間20ミリシーベルトという、この基準自体はですね、検査本部の方で、決定したと。安全委員会の諮問も受けて…提案も受けて、えー、まあ、えー、決めたということですので、手続きとしては適正な形で行われたものだと思っております。*

ま、ただ現実問題として、通っておられるお子さんや、親御さんがこれだけ不満を持っておられて、郡山のほうでは既にもうアクションも起こしているということですので、昨日も同じことを申し上げましたけれども、そういったことをしっかり踏まえて、政府として対応が必要だと、いう風に思います。で、今日の時点で、これが出来るということをですね、まあすぐには申し上げられませんけれども、政府内でも、色んなそういうことを受け止めてですね、やれることは何かという検討は急ピッチで進んでいるということだけは、申し上げておきたいと思います。

江川: さっき伺っているとですね、安全委員会のほうにモニタリングの結果はまだ受け取っていないと仰るんですね。だからそういうのを見ていると、非常にこの、まどろっこしい感じがするのですけども。もうちょっとですね、そういう対応を、あるいは検討をスピードアップするということを、是非働きかけて頂きたいと思います。

細野: はい、あのー、ええ。まあ、この場所かどうかは別にしてですね、しっかり、対応を、また報告できるのではないかと思っています。(この質疑のやり取りはここまで)
5.その他
江川: あと東京電力さんにですね、今すぐにお答え頂くのは難しいかもしれませんけども、明日でちょうど50日になるわけですよね。で、今回の対応でですね、この事故を抑えるためには色んなものを投入されたり、
海外からも協力してもらったりしていると思うんですけども、大体お金がいくら掛っているのか、あるいは工程表通りにやるためにはいくらぐらい掛かりそうなのか、ということをできれば出して頂きたいな、という風に思いますが。可能でしょうか。

東電: はい、あのー、どういったことがお答えできるかも含めまして、検討させて下さい。(この質疑のやり取りはここまで)
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以上は
@evolium さんによる江川さん質疑まとめです。
丁寧な文字起しで、質疑の雰囲気もよくわかると思い、少し見やすくするためと自分のメモとしても残しておきたく、当ブログに掲載させていただきました。

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