2011-03-31

いにしえの知恵を活かさず

元資料:中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会資料
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/kyoukun/15/shiryou3.pdf

津波 海溝型地震のおしえ


「安政南海地震 継承されること 忘れられること」(大坂)

安政南海地震(1854)の津波は、この堀にも侵入し、少なくとも340人もの人が津波の犠牲者となりました。そのことを生々しく物語るのが、大正橋の石碑です。
その文には安政元(1854)年六月十四日の伊賀上野地震による大阪の様子、十一月四日の安政東海地震の大阪での震度4程度のかなり大きな揺れを感じて、多くの人が小舟に避難したことが書かれています。石碑には、続いて翌五日の南海地震の記事が現れます。すなわち、申刻(16時)の本震の揺れによって、大阪では家の崩れ、出火も生じました。本震から2時間ほど経過した日暮れごろ、大津波が押し寄せ、安治川、木津川に山のような大波が入ってきました。


「今より百四十八ケ年前、宝永八丁(ママ)年十月四日の大地震の節も、小船に乗り津浪にて溺死人多しとかや。年月へだては伝へ聞く人稀なる故、今亦所かはらず夥しき人損し、いたましきこと限なし」
すなわち、148年前の1707(宝永四)年の南海地震でも、地震からの避難のために船に乗った人が大勢いて津波で溺れ死んだ。長い年月がたったので、この言い伝えを知る人が少なくなり、今またむざむざと同じように船に乗って同じ原因で死者を多く出すことになってしまった、というのです。先人の残した教訓を生かすことができなかった悔しさがにじみ出ています。
このあと石碑には後世の人へ教訓を残す文章が続きます。
「後年又、はかりがたし。すべて大地震の節は津浪起こらんことを兼ねて心得、必ず船に乗るべからず」
碑文の末尾はこう締めくくられています。「願わくば心あらん人、年々文字よみ安きよう墨を入れ給ふべし」私がこの石碑を見学に行ったのは、2005年の秋でしたが、この石碑には今も黒々と墨が入れられていました。この石碑を建立した人の子孫の人々が毎年墨を入れ続けているというのです。



図1 大阪の河川を大型船が流される様子を伝える瓦版
(安政南海地震の津波が大阪の堀に侵入、船で避難しようとした人が多く犠牲になった。)
(大阪府立中之島図書館所蔵)


「揺れない地震と大津波」(三陸)
1896(明治29)年6 月15 日、小さな揺れが感じられました。現在の震度にして2~3 と思われる小さなものであったようで、人々はさして気に留めませんでした。ところが、この約30 分後に巨大な津波が不意に押し寄せ、2 万2 千人にのぼる死者を生んだ津波災害となりました。
地震の規模の割に非常に大きな津波を引き起こす地震を「津波地震」と呼びますが、明治三陸地震津波はこの「津波地震」により引き起こされた津波でした。津波は、岩手県では標高38mまで駆け上がり、驚くべき事にハワイでも9mほどの津波が来襲していました。明治三陸地震津波は、津波そのものの大きさもさることながら、津波の警鐘となるはずの地震動が小さかったために、前触れなき大津波として語り継がれています。
三陸地方は過去何度も津波に襲われてきました。明治以降、三陸地方を襲った大津波は1896(明治29)年明治三陸地震津波、1933(昭和8)年昭和三陸大津波、1960(昭和35)年チリ地震津波の3 例ですが、それ以前にも現存している資料から判断すると平均で46 年に一度大津波が発生しています。

図2-1 幻燈写真 (仙台市博物館蔵)
左:釜石市街を襲う明治三陸地震津波
(前触れ無く押し寄せた巨大な津波に翻弄される人々が描かれている)
右:津波被災地の惨状
(海岸では生き残った人々が瓦礫を片づけ、砂に埋まった遺体を掘り起こす作業をしている)


明治時代に創刊された我が国初めての雑誌である「風俗画報」にも、津波によって流された人々の様子が克明に描かれています(図2-2)。押し寄せる津波に翻弄され、必死で木につかまろうとしている人や、赤ん坊を守ろうとしている親などが描かれています。当時の人々は、このような絵を通じて津波の被災地、そして被害というものがどれほど壮絶なものかを伝えようとしていました。
明治三陸地震津波の津波被害についてまとめた岩手県の報告書を見ると、岩手県内の死者数18,158 人のうち、荼毘(だび)に付された遺体の数は10,200 人とあります。つまり8,000 人近くの遺体が未だに発見されておらず、その多くが三陸の海に静かに沈んでいるのです。

図2-2 津波に翻弄される人々
(出典:風俗画報、臨時増刊第百十八号、海嘯被害録からの抜粋)

「今より41 年前に起こった津波は緩やかで、家の2 階にいた者の多くが助かった。明治の津波では、驚き慌てて逃げた者は助かり、過去の経験から津波はゆっくりやって来るものだと信じていた者は避難が遅れたために、巻き込まれて亡くなってしまった」。これは、1859(安政三)年に三陸はるか沖で発生した地震津波を経験した人が、津波というものは緩やかな波だと油断したために命を落とした例です。津波が押し寄せる状況は様々で、過去の経験に基づく行動や思い込みが裏目にでる場合もあるということを忘れてはなりません。
つなみてんでんこ”という言い伝えが東北地方にはあります。
これは「津波のときだけはてんでばらばらに、親子といえども人を頼りにせず、一目散に走って逃げよ」という意味です。

「村の再建 先見性のある構想とリーダーシップ」
津波は村全体を破壊しつくしました。人々は、家だけでなく村全体を再建する必要がありました。同じ悲劇を二度と繰り返さぬよう、人々は集落・家の再建にあたり、より高所に住むことを選択しました。村の良識ある指導者により高所への移住が提案され、人々が高所に移り住むことになりました。しかし、時が経つにつれ、日常生活の利便性を優先して海辺に戻ってしまうことになり、明治の津波災害の37 年後の昭和8 年(1933 年)に、三陸を再び大津波が襲うことになります。このときに明暗を分けたのが集落の高所移転のやり方でした。
東北地方出身の地理学者山口弥一郎は、津波被災後の三陸沿岸の集落を詳細に調べ、津波災害復興事業としての高所移転がうまくいった要因を分析しました。204 名の死者を出した岩手県気仙郡吉浜村(現大船渡市)では、当時の村長らが山麓の高所へ移転する計画を立てました。まず低地にあった道路を山腹へ変更し、もともと固まって位置していた集落を道路に沿って分散して配置するように工夫しました。その結果、1933(昭和8)年の昭和三陸地震津波による流失家屋数は、移転後に新しく低地に建った10 戸と移転位置の悪かった2 戸のみで済み、高所移転は成功しました。リアス式湾の奥にありながらほとんど被害を免れたのは、先見を持った者のリーダーシップと、村人全員が協力しあって難事業である集落移動を完了させたためです。

一方、吉浜村のすぐ北に位置する唐丹(とうに)湾の湾奥の気仙郡唐丹村(現釜石市)では、総戸数290 のうち272 戸が流失し、人口1,502 人中1,244 人が亡くなるという壊滅的な被害を受けました。村の役場の幹部らが中心となり、山腹に宅地を造成して村人たちに移転を提案しました。しかし、一度は移転した村人たちも、のちの豊漁が裏目となり、浜作業などの日常の利便性を求めて徐々に元の海岸に移り住むようになってしまいました。さらに不運なことに、大正2 年に発生した山火事により、山腹に移転した集落の9割が焼失するという被害を機に、最終的には元の場所に集落が再建されてしまいました。その結果、昭和8 年の津波で、再び260 あった集落のうち208戸が流失・倒壊するという悲劇が繰り返されてしまいました。
津波はそうそう来るものではないのに日常の生活が不便であったこと、津波後に大漁が続き、浜作業をするために海から離れ難かったことが挙げられます、津波襲来が頻繁でないこと(約10年経った頃からの復帰が目立つ)、津波未経験者が移住してきたこと、などが挙げられます。


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「年を隔てると同じ過ちを繰り返してしまった。だから後年には、天災は予知することはできないのだからせめて大地震には津波がつきものだと云うことを覚えておこう。後の人のために石碑を建て、忘れないために毎年毎年墨を入れることにしよう」…このような先賢の教えもむなしく、大阪の堀川を翻弄される船が時を超えて今何倍にもなって東北の長大な海岸線で流されているようにさえ見える。

東日本大震災に遭遇した私たちが何とも愚かだと思い知らされるのは、上に見たように三陸では津波は何度も繰り返し起きて、その度に先の経験を生かすことなく大きな犠牲を被っていることだ。明治三陸の悲劇は「311」そのものとしか見えない。今また当事者や為政者が知見が及ばなかったとか想定外であったとか、愚かしい欺瞞にみちた言葉を連ねている。明治、昭和と繰り返される津波襲来は「昨日起こった今日なのだ」人々の魂を鎮めることもせず、私たちはこの愚行をまた繰り返し、明日に備えることもしないのか。
日常の不便さや日常のパンが私たちの目を曇らせる。利害調整という小さな困難が未来から足を遠ざけさせる。ちっぽけな地位や関わりが本当のことを云う勇気を奪いさる。
幾人かの少数の人達は、過ちを繰り返さないための都市計画を、エネルギー政策を訴える。しかし多くの為政者や企業経営者は誠実でも、人々に寄り添ってもいないことを日々明らかにしている。テレビや新聞が真実を伝えていないことを知らせている。
私たちは気付きはじめている。でも、変わらないことには変えられないのに、一歩を踏み出せずにいる、私がいる。
(masumi)
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追加資料
仙台平野の堆積物に記録された歴史時代の巨大津波
http://www.gsj.jp/Pub/News/pdf/2006/08/06_08_03.pdf

4/2追加 岩手日報 「津波防災 ハードの限界」

東日本大震災で、世界一深い釜石市の釜石港湾口防波堤や宮古市田老地区の大型防潮堤など、津波防災の象徴とされた施設は決壊するなどし、大津波を防げなかった。これまで多額の事業費を費やし、住民にも一定の安心感を与えていたが、今回の津波で限界を露呈。今後はハード整備に依存しない新たな津波防災のまちづくりが求められる。
水深63メートルと世界一深い防波堤として、ギネスにも認定されている釜石港湾口防波堤。国が30年以上かけて整備した津波防災のとりでだったが、歯が欠けたように何カ所も決壊した。
同防波堤は明治三陸津波(1896年)で約3700人が犠牲になるなど、過去に何度も津波の脅威にさらされた釜石湾沿いを守ろうと約1200億円を掛けて整備。2009年に完成したばかりだった。
同市嬉石町の成沢幹雄さん(72)は「金をかけた割に弱かった」とため息をつく。
港湾空港技術研究所(神奈川県横須賀市)の調査によると、釜石港には今回7~8メートルの津波が押し寄せ、同市中心部も浸水。しかし街が根こそぎ「持ち去られた」格好の陸前高田市や大槌町などに比べ、比較的多くの建物が原形は保った。
野田武則市長は「防波堤があったから被害がこれぐらいで収まったと思う」と一定の効果は認めた上で「ここに住むのは『危険』と明確に示すなど都市計画を見直さないといけない。違う視点でまちづくりをする必要がある」と強調する。
宮古市の田老地区は総延長2433メートルと全国でも珍しいX型の大型防潮堤があり、高さは昭和三陸大津波(1933年)の最大波高を想定した約10メートル。「津波防災のモデル地域」として知られていたが、田老魚市場近くに造られた582メートルの防潮堤は、津波で跡形もなく破壊された。
家を津波で流失した漁業山本勝己さん(75)は「時間とお金をかけて造った立派な物が数分で壊れた。まさか津波が越えてくるとは」と肩を落とす。
宮古市の小笠原昭治危機管理監は「防災で考えていた範囲を超えていた。ゼロから考え直さなければ」と話す。
防波堤や防潮堤は過去の被害などを踏まえて整備されてきたが、今回の大津波は国にとっても「想定外」。東北地方整備局の遠藤正義港湾空港環境対策官は「学識経験者や関係機関と調査を進め、今後の対策の在り方を検討したい」と語る。
岩手大工学部付属地域防災研究センター長の堺茂樹同大教授(海岸工学)は「今回の津波に耐えられる構造物を造るのは、多くの時間と費用が必要でほとんど不可能。住民組織の日常的な備えの見直しなどソフト面で補う体制づくりが重要だ」と説く。
(2011/04/02)
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(追記 2011/04/11)
防災科学研究所・自然災害情報室 特設サイト http://goo.gl/n4bFl
過去の津波災害の情報へのリンクポータル

リスクコミュニュケーションについて 小山教授-静岡大学教育学部

原典:火山に関する知識・情報の伝達と普及
    -減災の視点でみた現状と課題-小山真人(静岡大学教育学部総合科学教室教授)
    リンク:http://goo.gl/55Y8c


3.リスク情報の発信・伝達・受容にまつわる諸問題
本節では,火山のリスク情報の発信・伝達・受容にまつわる諸問題についての研究や実践的活動のうち,単なるケーススタディにとどまらずに一般化を試みたもの,応用範囲の広い知見・手法として記憶にとどめたいもの,さらには未解決の問題点・論点などを紹介する.
火山や自然災害に限らず,社会に潜在するさまざまなリスクの情報をどう伝えるかについては,心理学者による研究が幅広くおこなわれている.それらの知見の中には,火山専門家が傾聴すべきものが少なくないため,まずその代表的なものを紹介する.次に,リスク情報伝達についての火山学界側での研究史を振り返る.さらに,情報の発信側,伝達媒体,受け手側の3つに分けて,具体的に顕在化している問題の現状を把握する.


3-1.リスクコミュニケーション
人間社会は,火山災害に限らず,事故・災害や危険物質などのさまざまなリスクにさらされている.専門家はリスクに関する知識や情報をいち早く知ることができる立場にあり,それらを一般市民にわかりやすく伝える責任を負っている.しかしながら,専門家と市民それぞれの基礎知識・経験には大きな差があるため,リスク情報を専門家から市民に誤解なく伝達することは難しい.
中でも,発現する確率が非常に小さい(しかし,いったん発現すれば大きな災厄をもたらし得る)リスクの情報について専門家と市民が相互理解し信頼関係を築くことには,しばしば特別な困難がともなう.地震・火山噴火・突発的環境汚染・原子力事故などの稀にしか起きない低頻度災害においては,(1)情報が風評被害を生み,地元経済にダメージを与える,(2)情報がパニックを起こす恐れがある,(3)対策の目途がたたないリスクの存在が公表されるのはまずい,(4)基礎知識が十分でない一般市民にはそもそも情報を誤解なく伝えることができない,などの理由によって情報発表が自粛されたり,外部から圧力がかかって公開が妨げられたりするケースが存在する.
しかしながら,そうした情報隠匿の事実が明るみに出ると,専門家と市民の間の信頼関係が大きく損なわれ,回復に長い年月がかかる.そもそもリスク情報自体に罪はなく,情報伝達の仕方がわかりにくかったり一方的であったり,あるいは平常時の教育や市民との対話を怠っていることなどが根本原因であるが,そのことを十分理解している専門家や行政担当者の数は少ない
このようなリスク全般についての情報発信・伝達・受容の問題を,認知心理学・社会心理学・組織心理学に関する内外の豊富な知見・研究事例をベースとして一般的・総合的に取り扱い,現状や解決法を広く論じた研究として,吉川(1999,2000)が挙げられる.
最近,行政や企業などに「リスクコミュニケーション」の考え方が浸透してきたが,吉川(1999,2000)はリスクコミュニケーションの教科書としても最適である.吉川(1999,2000)によれば,これまでリスク情報は専門家の価値観だけによって取捨選択されがちであったが,そのようなやり方は民主主義が浸透した現代社会においてもはや通用せず,専門家が真摯に市民と対話することによって市民のもつ多様な価値観やニーズを学ぶ過程が,リスクの社会的受容や合意形成のために不可欠であるという.その考え方を具現化したものが,リスクコミュニケーションという双方向の情報伝達である.
火山災害の減災に取り組む専門家・行政担当者・一般市民のいずれにとっても吉川(1999,2000)から学ぶ点は多いが,ここではとくにTable 1に示した5つのポイントについて,簡単な解説をほどこしておく.
Table 1 よりよいリスクコミュニケーションを実現するためのポイント.吉川(2000)から筆者がとくに選んで引用したもの.
Table 1 Principles for better risk-communication, quoted from Kikkawa (2000).
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(1)パニック神話
一般の人々が過度に不安にならないように,従来とられてきた情報戦略とは,リスク専門家が情報の取捨選択をして,「住民が不安がる」とか「不要な混乱を招く」ことがないよう,リスク情報を伝えることであろう.そうすることによって,リスクの社会的増幅が防げると,おそらくは信じられてきたと推測できる.しかし,リスクの社会的増幅を招くものは,そもそも人々の不安や疑念ではない(中略)人々は情報を求めているのだから,そのニーズに迅速に対応しないことが,スティグマ化や不信,うわさの発生を招くのである.科学的に正確な情報を伝えることだけでは,社会的増幅を防ぐ手段とはなり得ない.ましてや,パニックを恐れて情報を隠蔽することは,社会的増幅を防ぐことにはつながらない.むしろ,情報を伝えることによってパニックが防げるのである.(p.151-152)
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(2)組織の意思決定
集団の意思決定については,その決定結果が,必ずしもその集団の中の有能な個人の決定よりも優れたものとはならないことを,多くの研究が明らかにしてきた.しばしば「三人よれば文殊の知恵」といわれるが,このようなことは現実には起こりにくいことが明らかになっている.ことに,集団浅慮といわれる現象は,集団による意思決定の場合,最適の決定ができないこと,むしろ誤りがあり得ることを実証的に明らかにしたものである.集団浅慮とは,集団の意思決定において,メンバー個人が持つ批判的な思考能力が,集団の話し合いの過程の中で失われる結果,過度に危険(リスキー)な決定を集団が下してしまう現象を指す.(p.132)
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(3)受け手を安心させる情報
リスク・コミュニケーションにおいては,それにかかわる組織は,リスク情報を伝えるだけでなく,組織としていかにリスクを管理しているかについての情報をも,伝えることが求められている.単にリスクが小さいとか,安全であるというだけでは,情報としては十分でない.どのようにリスクを管理しているから安全だといえるのか,また事故が起こった場合にはどんな対応がとられるようになっているのか,などについての情報が必要とされる.(p.140)
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(4)受け手のニーズと価値観
人々が何に対して関心を持っているのか,また何を恐れているのかを十分に理解しなければならない.リスク・コミュニケーションにおいては,価値観の相違がつきものである.しかし,リスク専門家はリスクの科学的な問題については専門家であるとしても,価値観について専門家であるわけではない.専門家の価値観に基づいてリスク・コミュニケーションが行われることがあってはならない.(p.213-214)
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(5)教育のポイント
リスクについての情報を批判的に読み解く能力を,教育によって形成していくことがリスク・コミュニケーションにおいては重要である.(中略)こうした教育に重要なポイントとして,次の三つが指摘されている.(1)ゼロリスクはないと理解すること,(2)リスクとベネフィットの両方を考えることが必要であると知ること,(3)リスクについて確実なことはなく,不確実性は避けられないと知ること.(p.214-215)
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パニック神話
災害情報を不用意に流すことによってパニックが起きるという根強い偏見が,とくに行政担当者や科学者・ジャーナリストの一部にあることが,心理学者によってたびたび指摘されている.この偏見は「パニック神話」「パニック幻想」などと呼ばれる(たとえば,岡本,1992;広瀬,2004).吉川(1999)もこの点を指摘しており,むしろ情報を知りたいという住民のニーズに対して迅速に十分な情報を提供することによって,パニックや混乱を防ぐことができる点を強調している.
組織の意思決定
組織心理学の視点から見た場合,旧来的な合議による組織の意思決定にはさまざまな弱点があること(亀田,1997;足立・石川,2003;鎌田,2003など)が紹介されている.とくに「三人よれば文殊の知恵」という状況が現実の会議システムでは起こりにくいとの指摘は傾聴すべきものである.吉川(2004)は,組織心理学の視点から噴火予知連の議事録分析を実際におこない,いくつかの疑問点を提出した.
受け手を安心させる情報
単にリスクが大きい小さいという情報だけで,市民に十分な安心感を与えることはできない.そのリスクがいかに管理されているかという情報を伝えて初めて,住民の安心や信頼を得られることが説かれている.火山災害に関係した情報伝達において,まだそのような情報伝達は十分でないだろう.
受け手のニーズと価値観
双方向の情報伝達の機会を十分にとり,住民のニーズや価値観を知り,情報発信側の価値観だけにもとづいた独善的な情報伝達を避けることがリスクコミュニケーションの真髄と説かれている.火山災害に関するリスク情報の伝達は,まだまだ専門家や行政担当者から住民への一方通行的なものが多いので,傾聴すべき主張である.
教育のポイント
リスク情報のリテラシー教育の重要性とポイントが解説されている.そのポイントとして,リスクがゼロということはありえないし,不確実性も避けられない点を伝えることと,リスクだけでなくベネフィットを併記・比較して伝えることの重要性が説かれている.火山災害のリスク情報についても,まったく当てはまる点である.
(小山真人博士の許可を得て転載いたしました)
------------------ 引用終わり -------------------

関連論考 医学書院 「危機時における情報発信の在り方を考える 新型インフルエンザのクライシスコミュニケーションからの教訓」吉川肇子(慶應義塾大学商学部准教授) http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02853_04

以下 要約 ----------

非理性モデルと理性モデルである。非理性モデルでは,人間をあたかも物体のように見立て,自発的な意思もなく流されていくと考える。行政機関やマス・メディアの報道は,このモデルに沿っていることが多いとされる。一方,理性モデルでは人を情報や集団の絆,役割などに従って自発的に考え,判断し,行動する主体としてとらえる。
このように,前提としたモデルによって,設計されるクライシスコミュニケーションは異なってくる。非理性モデルに基づくならば,「人々はパニックを起こすから,冷静な対応を呼びかけなければならない」,あるいは,「うわさに惑わされるかもしれないから,正しい情報に基づいて行動させなければならない」となる。今回の新型インフルエンザ発生の際に,行政機関が繰り返し「冷静な対応」や「正確な情報に基づく行動」を呼びかけたのは,非理性モデルに基づいてコミュニケーションをしていたからである。
しかし,災害など緊急時の人間行動を分析した社会心理学によれば,人々が危機に際して非理性的に行動した例は極めて少ない。すなわち,非理性モデルは現実に起こっていることと一致していないのである。
また,過去に社会的混乱を引き起こしたうわさ(流言)は,その多くが行政機関からの情報がもとになっている。例えば,阪神・淡路大震災の際に発生したうわさを分析した故・廣井脩 東大教授の調査によれば,防災機関が発表する情報が難解だったり,あるいは何の解説もなく専門用語が使われていたりするために,その情報が誤解され,流言化していったことが明らかになっている。つまり,うわさを引き起こすのは,人々の非理性的な行動ではなく,理解しにくい情報を提供した者なのである。
----------- 引用終わり
追記 4/2 信野毎日新聞 
 こういうとき怖いのは、情報不足による疑心暗鬼だ。関東で水道水から放射性物質が検出されたとき、西日本に避難する動きが加速した。東京にある各国公館の職員が本国に引き揚げたりもした。いずれも正確な情報が提供されなかったことが大きい。

大気や水、土壌の中の放射能を広い範囲にわたり、常時監視する体制を整える必要がある。データはネットでいつでも見られるようにするのがいいだろう。

原発事故が収束に向かい放射線量が下がっていけば、不安心理は自然に収まるはずだ。危険が高まる場合には万一の心構えを促すことができる。

海外に向けての説明も重要だ。長野県産野菜から基準を超える放射性物質が検出された、との誤った情報に基づいて、ロシアが県産野菜の輸入を禁止した。こうした無用な混乱を避けるには、外国語による発信も有効だろう。

日本政府の発表はこれまで、内外で必ずしも信用されていない。「ただちに健康に影響を及ぼすものではない」といった紋切り型の発表はやめて、リスクを懇切丁寧に説明することだ。

2011-03-27

分かり易いNewYorkTimes図解シリーズ

Hazards of Storing Spent Fuel
Published: March 12, 2011
1建屋 燃料プール
Dangerous conditions can occur if water drains from pools storing radioactive fuel  rods.http://www.nytimes.com/interactive/2011/03/12/world/asia/the-explosion-at-the-japanese-reactor.html
2.格納容器内部3D 圧力容器 サプレッションプール(別名トーラス) 圧力容器(炉心)
http://www.nytimes.com/interactive/2011/03/19/world/asia/reactordesign.html?ref=weekinreview

BBCも
BBC News - In graphics: Fukushima nuclear alert

アポカリプス


私たちはどうしてこのような凄まじい状況に耐えることが出来るのだろうか。一つ一つの災害や事故がたとえ単独で起こったとしても、喩えていえば新聞の一面を埋めるような大事故だ。一年に一度しか起こらないような事態が次から次へと起きている。コンビナートのタンクが次々と爆発炎上しその煙が東京湾岸を覆い尽くしたのもただの序章でしかなかった。
福島では、1mもの厚みのある鉄筋コンクリートで覆われた原子炉建屋が一瞬で吹き飛ぶ水素爆発が起きた。鉄骨はぐにゃりと曲がりまるで広島の原爆ドームのような様相を見せている。爆発時には焦げ茶色をした煙が建屋の何倍もの高さに吹き上がり、30kmもはなれたカメラからもはっきりと捉えられるほどの規模であった。一棟ならず三棟もの建屋の上部が崩れさった。
露出されたのは、放射能の放出をかろうじて閉じこめている巨大な格納容器である。さらに格納容器の中には制御不能となった反応炉(圧力容器)がある。冷却剤を喪失して高温となった薄いジルコニュウムの被覆菅は破れウラン・プルトニュウムや放射性二次生成物で構成される燃料ペレットが溶け出している。
震災と共にスクラム(緊急停止)によって臨界状態はとめられたものの、冷却装置は復旧しておらず水素爆発や再臨界の危険が除去されたとは言い難い。

その上このことが、大地震・大津波に襲われ無慮三万人の死者を数える悲劇の中に立ち現れているのだ。黙示録的世界が口を開けたのだ。

2011-03-26

NHK科学文化部 解説

【原発事故問題・かぶん山崎記者が解説します】東京電力福島第一原発は3号機に続いて1号機でも、地下にたまった水から高い濃度の放射性物質が検出されました今後の復旧作業はどうなるのか。山崎記者の解説を連続ツイートします。(数値や事実関係は今日3/26午前段階です)
posted at 14:04:07
山崎記者1:まず水が漏れた場所を確認します。原子炉が入っている原子炉建屋の横に発電をするためのタービンが入っているタービン建屋があります。今回高濃度の放射性物質を含んだ水が見つかったのは、この地下1階。タービンの下の部分です。(3/26午前)
posted at 14:05:43
山崎記者2:3号機では3人の作業員が被ばくしました。そして1号機でもきのう、高濃度の水が見つかったということです。こうした高い放射線を出す水、これは原子炉から何らかのルートをたどって出てきたと考えられています。(3/26午前)
posted at 14:06:46
山崎記者3:原発周辺の住民への影響はどうか。東京電力の観測で原発正門ゲートの放射線量の値を見ると、今月15日、ちょうど水素爆発で3号機建屋が大きく破損したときは10ミリsv/hとかなり高い。そして、水漏れが見つかったあとは0.2ミリsv/hでした。(3/26午前)
posted at 14:07:39
山崎記者4:ここから言えることは、今回のタービン建屋での水漏れは外に影響があるという放射線のレベルではないということです。避難されている住民の方への影響というよりも所内の作業員の方たちの作業環境が非常に難しいものになってきているのが問題だと言うことなんです。(3/26午前)
posted at 14:08:43
山崎記者5:「かぶん」には今回の原発事故とチェルノブイリ原発との違いについてのご質問が来ています。まずチェルノブイリ原発の場合、事故時は原子炉出力が上がり核燃料が核分裂反応を起こしていました。その原子炉が急激な反応によって爆発を起こしたわけです。(3/26午前)
posted at 14:17:20
山崎6:これに対し福島第一原発の原子炉は停止しています。そして燃料も核分裂反応は終わっていて、ただ燃料自身がまだ高い熱を出す、崩壊熱というのは出すんですね。爆発が起きたのは原子炉自体ではなく原子炉の入った建屋でした。(3/26午前)
posted at 14:19:22
山崎7:ご心配なのは今後福島第一でチェルノブイリのような爆発が無いかということですが、専門家も、いわゆる「臨界」状態になるのは非常に条件が重ならないとならない、福島第一原発で臨界による爆発が今後起こる確率は、ほぼゼロに近いのではないかと見ています。(3/26現在)
posted at 14:28:47
山崎8:もちろん現在の福島第一原発のリスクはあります。核分裂反応が止まっていても、核燃料はそれ自体高い熱を持ったままです。それを冷やさないと原子炉が溶けてしまったり亀裂が入ったりする。そうすると原子炉内の核燃料が外に流出してしまったりする。(3/26現在)
posted at 14:29:03
山崎9:そうすると高い放射線量をもつ核燃料が場合によって敷地外に出るリスクは高まるわけです。そのため今、熱い状態の核燃料を水で冷やす作業が進んでいます。きょう福島第一原発では海水もしくは真水を原子炉、そして核燃料を保管するプールに注入する作業が続いています。(3/26現在)
posted at 14:31:41
山崎10:あとは外部電源の復旧です。核燃料を冷やすために冷却装置はいくつもついていますが、停電で使えない状況です。すでに送電線から仮設のケーブルを引っ張り込んでいつでも電気が流せる状態になっており、冷却装置を修理して使えるようにする作業が続いています。(3/26現在)
posted at 14:39:08
山崎11:しかしその作業が予定通り進んでいないのは、想像していた以上に放射線レベルの高い水があったりという空間、部屋があるので、そこを避けながら作業を進めていかないといけない、厳しい作業が続いています。(3/26現在・ここまで)
posted at 14:43:14



【山崎記者の解説・海水から放射性ヨウ素検出について】引き続き、原発周辺の海水から国の基準の約1250倍の濃度の放射性ヨウ素131が検出された問題について、山崎記者の解説を連続ツイートします。(3/26昼段階です)
posted at 14:47:23
山崎記者1:検出された場所を説明します。1~4号機から出るいろいろな雑排水も含めて、水が放水口から流れ出ます。その330メートル沖合で国が測ったところ基準の約1250倍の放射性ヨウ素が観測されたということなんです。(3/26昼段階)
posted at 14:54:28
山崎2:ここでは先日も126~140倍という、放射性物質が海中に発電所から流れ出ていることが確認されていますが、さらに高い値が今回検出されたことで、引き続き福島第一原発から放射性物質が海中に流れでていることが改めて確認されたということになります。(3/26昼段階)
posted at 14:59:55
山崎3:懸念ですが、発電所では先日も3号機のタービン建屋で高濃度の高い線量の水が見つかり、そこで3人の作業員が被ばくしました。1号機、2号機、4号機でもタービン建屋で放射線濃度の高い水が見つかっています。(3/26昼段階)
posted at 15:02:42
山崎4:これがどういうことかというと、おそらく地震と津波で様々な施設がダメージを受けて、いろいろなところから放射性物質を含んだ水が配管などから流れ出してこういった隣の建屋にも行っている。最終的には、出てきた水が放水口を使って海に流れ出ています。(3/26昼段階)
posted at 15:05:06
山崎5:こういった汚染された水が最終的に流れ出す状況が続いており、国としては20キロ沖合では全く影響のない値としていますが、放射性物質が海中、環境中に出ることは押さえる必要があります。(3/26昼段階)
posted at 15:07:17
山崎6:きょうの作業では、発電所の中で見つかった線量の高い水は可能な限り回収して外に出ないエリアで保管するとしています。そして引き続き核燃料を冷やすための注入作業と、失われた電気設備を復旧させ冷却のためのポンプなどを動かすという作業が行われます。(3/26昼段階)
posted at 15:10:21
山崎7:先日の事故は作業員が入る前に放射線のチェックが行われず被ばくしてしまいました。いま発電所内では何が起こるかわからないという状況で、放射線管理の徹底と同時に外に出る放射性物質を押さえ込むという難しく厳しい作業を進めなければならない状態です(3/26昼段階・ここまで)
posted at 15:15:23

Radiation Monitoring Data from Fukushima Area 03/25/2011

Check out this SlideShare Presentation: As the situation in Japan continues to evolve, we want to keep you abreast of the latest information on the assistance and expertise we’re providing to the Japanese response and recovery efforts. Please take note of the dates attached to each piece of information, as this is a very fluid situation that is continually evolving.
Earlier this week, the U.S. Department of Energy released data recorded from its Aerial Monitoring System as well as ground detectors deployed along with its Consequence Management Response Teams. Today, the Department provided the following update on the information gathered by the AMS. The information has also been shared with the government of Japan as part of the United States' ongoing efforts to support Japan with the recovery and response effort.

3月23日のデータに基づく図表は5/8頁にあります。

2011-03-24

SPEEDiと米国チームの実測図

私も16日には気付いて公開を訴えていた放射性物質拡散予測システム=SPEEDiがようやく昨日公表された。原子力村の隠蔽体質にはまことに恐れ入る。マスコミの無能力あるいは迎合体質もここまで来れば、国民の目には明らかだろうと思うのだが、それでも洗脳状態から脱出を計ることもなく未だ騙され続けるのだから嘆息するしかない。人々の批判的態度への非寛容と知識不足はとても怖いことだと思う。全く真実に裏付けられない噂が感情的な言葉と共に急速に広がることを恐れる。デマが広がる素地ががっちりとできあがっている。
下に掲げる2つの図を見てほしい。SPEEDiが公表される前に米国エネルギー庁が公表した米国チームによるデータ収集・解析の図表とSPEEDiの図表だが、両図はよく似ている。上の図は実績値である。

住民が退避するために必要なデータ=予測図を官邸が隠していたことは犯罪的だと私は思う。
また、今後も定期的な米国の実測データの公表を求めたい。


この図の形が甲状腺の模式図に似ているのもなんだか厭なものだ。

Radiation Monitoring Data from Fukushima Area March 22, 2011

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Technical Briefing on the Situation in Japan (23 March 2011)

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2011-03-22

カナダの農民 巨大企業に挑む

(2010.9.17放送)Democracy Now 日本簿字幕版翻訳:小椋優子 字幕動画



カナダの農民パーシー・シュマイザーさんのキャノーラ(ナタネ)畑は、1997年、風で飛ばされてきたモンサント社の遺伝子組み換え種子によって汚染されてしまいました。これによりそれまで50年間かけて品種改良につとめてきた種子がダメになってしまったばかりでなく、この巨大バイオ化学メーカーに、特許権の侵害で訴えられてしまいました。
つづきは、Democracy Now http://democracynow.jp/newsletter/list#38

2011-03-21

放射能漏れに対する個人対策 山内 正敏

山内正敏氏 (スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF))ホームページからの転載です。
『データを個人行動にどう活かすかの指針として分かり易く述べられていると思い、少しでも多くの人に読んでもらいたいと思いました。』ブログ子

=========================================== <以下転載引用>

放射能漏れに対する個人対策  [元記事]

=== 転載自由 ===

放射能に関して、
放射線医学総合研究所(事故対策本部に加わった組織)を始めとして、多くのメディアや研究者が
『現在の放射�能の値は安全なレベルである』
という談話を発表していますが、残念ながら、どの組織も
『どこまで放射線レベルが上がったら行動を起こすべきか(赤信号と黄信号)』
を発表していません。これでは近隣地域の人々の不安を払拭する事は出来ないと思います。行動を必要とする危険値や警戒値を語らずに『安全です』と言ってそれは情報とは全く言えないからです。これは我々が取り扱っている宇宙飛翔体での管理についても言える事です(その為に宇宙天気予報があります)。

そこで、少々荒っぽいですが、行動指針を概算してみました。科学的に厳密な予測は気象シミュレーションや拡散条件など多分野に渡る計算を必要として、短い時間にはとても出来ないので、多少の間違いもあるかも知れませんが、緊急時ですので概算をここに公表します(3月19日現在)。


先ず第一に、刻々と変化する放射能に対してどう判断するかです。
色々な研究所が上限値を出していますが、これが総量である事が問題です。というのも測定値は1時間当たりの値だからです。とりあえず、総量100ミリSv(Svはシーベルト)という数字で考えてみます。この数字�は原子力関係者が平時に受けて良いとされる政府基準・東電基準で(国際基準は500ミリSv)、更に妊婦を除く大人が受けても大丈夫と科学的に示されている値でもあります(R.L. Brent の2009年のレビュー論文を参照)
気がついてから脱出まで半日かかるとして、かつ状況が刻々と悪くなる事を考慮すれば、危険値は100時間で割るのが妥当ですから、

(1) 1000マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない = 赤信号。

という事になります。しかしながら、この値になって行動すると云う事はパニックを意味します。現在の値の変動幅を見るに、一桁の余裕を見れば数日の余裕があると考えられます。逆に言えば、1割以下の量を超えた段階で行動を開始するのが妥当で、

(2) 100マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い = 黄信号。

という事になります。


第2に、妊婦に関する特別な考慮です。
事故対策本部の放射線医学総合研究所に100ミリSv(総量)で大丈夫とありますが、これは正確ではありません。上にあげた R.L. Brent のレビュー論文(2009年)によると、100ミリSv(総量)というのは、1%以上の人が影響を受ける値です。つまり、安全値というより、むしろ、これを越えると有為な差があるという危険値です。論文のTable 5 や Figure 4 論文を見ると、安全と言い切れるのは5ミりSv(総量)以下で、そこから100ミリSv(総量)まではグレイゾーンです。現に、大人の場合、同様に『1%以上の人に明らかに影響がある』と言われる1000ミリSv(総量)に対して、原子力従事者の安全基準は1割の100ミリSv(総量)です。普通の人が毎年放射能を受ける訳でない事を考えても、3割以下で安全と考える�のが妥当で、その事は上記論文の Figure 4 からも見て取れます。ということは、

(3) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、300マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない = 赤信号。

(4) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、30マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い = 黄信号。

となります。

逆に言えば、(2)や(4)の1割以下(普通の人で10マイクロSv/時、妊娠初期の人で3マイクロSv/時)なら安心して良い事になります。



第3に、距離との関係です。
チェルノブイリで問題になったのは事故現場からの直接放射でなく、そこで発生した高濃度の放射性噴煙が移動しながら出す放射線でした。福島原発の場合。燃料棒が壊れているという事ですから、焚き火での焼けぼっくいと同じく、マイクロスケールでの爆発を繰り返して、それが放射能の濃淡を作っています。現に現場付近では、初期の値は大きく変動していました(今は飽和しているから一定値になっている)。この手のマイクロスケールの高濃度放出は自然界では普通に起きている事で、それ故に科学者でなくても多くの人が『そんなものだ』と感じています。このリスク計算がありません。

地表と違って上空100mを越えると風は安定的にかなりの速さで吹いています。その場合、だいたい10m/秒という見積もりが良く(10km上空は50~100m/秒です)、この速度だと、高濃度の放射性ダストは(サイズにもよりけりだけど)数時間は拡散せずに放射能を出し続けます。一部の人が言っているように距離の逆自乗で減衰する事はありません。10m/秒とは時速約40kmに相当します。そのようなダストは原発現場でも高濃度の放射能を出しますから、現場で非常に高い値を記録したら、その風下の人間は緊急に室内に退避しなければなりません。その警報が届くまでに2時間見積もる必要があり、そこから80km圏という数字が簡単に出て来ます。ちなみに、こういう警報は日本語で出されますから、日本人(現状では1時間以内で対応すると思われる)と外国人とでは避難の速さが違い、その為に日米での退避半径が違うと考えられます(もちろん、避難範囲を広げると国が後日保証しなければならない人が多くなる、という事情もあるかも知れませんが、そういう政治的・裁判手管的考察はここではしません)。

さて、では福島原発での放射能の値がどれだけ上がったら室内退避をすべきでしょうか? 急速に運ばれた放射性ダストが、例えば朝凪夕凪になって居住圏にジグザグしながら浮遊するとして、2時間を想定すれば50ミリSv/時が危険値です。つまり

(5) もしも原発の近くで50ミリSv/時を越えたら風下100km以内(左右60度の扇形)の人は緊急に屋内に退避し、100km以上でも近くの放射能値情報に随時注意する = 赤信号。

では警戒値はどの程度になるでしょうか? この場合、原発での測定が一ヶ所であることを考慮しなければなりません。局所的な高放射能雲なので、一桁の誤差を見積もる必要があります。従って、緊急避難値の1割の5ミリSv/時という事になりますが、この位の値になると、原発正門(測定値のある所)では、事故現場からの直接放射の量が大きくて、浮遊性ダスト起源と区別がつきません。こういう時は変動幅を使うのが常套です。つまり

(6) もしも原発の場所で急に5ミリSv/時以上の上昇が見られたら、風下100km以内(左右60度の扇形)の人はなるべく屋内に退避し、100km以上でも近くの放射能値に随時注意する = 黄信号。

となります。

written 2011-3-18
revised 3-19: (1)と(2)を追加
revised 3-21: (5)と(6)を追加

山内正敏

スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF)

===========================================
単位について(Gy と Sv)
Sv = Q x Gy
で大抵は Q=1 です。但し、ソースの近く(原子炉の近くとか、放射性ダストの近く)では中性子の事があり、その場合はQ=10です。
--------------------------------------------<引用終わり>

山内 正敏:オーロラの観測と研究でスウェーデンに滞在する研究者

2011-03-18

Jpan Quake may have shortened the length of each Earth day


The March 11, magnitude 9.0 earthquake in Japan may have shortened the length of each Earth day and shifted its axis. But don't worry—you won't notice the difference.
Using a United States Geological Survey estimate for how the fault responsible for the earthquake slipped, research scientist Richard Gross of NASA's Jet Propulsion Laboratory, Pasadena, Calif., applied a complex model to perform a preliminary theoretical calculation of how the Japan earthquake—the fifth largest since 1900—affected Earth's rotation. His calculations indicate that by changing the distribution of Earth's mass, the Japanese earthquake should have caused Earth to rotate a bit faster, shortening the length of the day by about 1.8 microseconds (a microsecond is one millionth of a second).
The calculations also show the Japan quake should have shifted the position of Earth's figure axis (the axis about which Earth's mass is balanced) by about 17 centimeters (6.5 inches), towards 133 degrees east longitude. Earth's figure axis should not be confused with its north-south axis; they are offset by about 10 meters (about 33 feet). This shift in Earth's figure axis will cause Earth to wobble a bit differently as it rotates, but it will not cause a shift of Earth's axis in space—only external forces such as the gravitational attraction of the sun, moon and planets can do that.
東北沖大地震によって地球の時間は短くなり、回転中心は東へ移動した。

2011-03-16

メディアリテラシーのために 真実はどこにあるか

メルトダウン:原子炉で起きる前に東電本社でメルトダウンが起きていた。隔壁の向こうの人間ほど融けてしまっていることが「わかった」 #fpaj #jishin RT @hatakezo: 東電、どんな種類の放射性物質が出ているかは把握していない、と先ほど中継していた会見で。
posted at 10:57:37
福島第一4号炉が火災。使用済み核燃料からの放射性物質漏出が始った。2号炉に小規模な爆発が起こり格納容器の一部が破損したと思われる。白い煙は水蒸気の漏出と思われる。…などの説明が枝野長官・菅総理からあった。残念ながら私たちにとっては想定の通りである。 #fpaj #jishin
posted at 11:15:30
しかし、このような事態が起こるまで起こりうるケースとして情報開示してこなかった官邸・東電・マスコミの罪は大きい。 #fpaj #jishin
posted at 11:18:07
新聞各紙が原発危機に関し対策が後手に回ったと政府批判を行っているが、とんだお門違いだ。彼らこそ国民に真実を知らせ、政府の対策のチェックをすべきだったのに、無批判に東電や関係部局からの情報を受入れ要約する機械でしかなかった。 #fpaj #jishin
posted at 12:43:09
新聞マスコミが私たちの知る権利を妨害しさえしていた。事実・真実にリーチできないもどかしさを、彼らは知ることさえないのだろう。記者会見にさえ出させてもらえなかった外国の報道機関に内容・正確性、さらに速報性において完敗しているのを私たちは知っている。 #fpaj #jishin
posted at 12:47:39
新聞・テレビの皆さん、今が、あなたたちが変わる時ではないのですか? あなたたちこそ、他人にその責任を押しつけることはできないのです。 #fpaj #jishin
posted at 12:51:48
マスコミこそ同じく批判されなければならない存在です。首相批判でごまかすな、と云いたい。RT @nobuogohara: このような局面で全国紙が首相を批判するのには余程の覚悟がいると思います。概ね事実の可能性が高いと思います。
posted at 12:54:21
全く首相の肩を持つわけではないが、首相批判など彼らの得意手じゃないですか?さんざんその手のマスコミの演出を見てきたではありませんか!RT @nobuogohara: このような局面で全国紙が首相を批判するのには余程の覚悟がいると思います。 #fpaj #jishin
posted at 12:55:58

なるほど、メディアスクラム。日経・朝日・読売・毎日・産経、見事に金太郎飴状態で東電への怒りをぶちまける首相を批判。その記事の一致ぶりにぞっとする。東電って誉められたものでしたか?この間ずっとウソつき、情報隠し東電でしたよ。「記者会見」ずっと見てましたよ。#fpaj #jishin
posted at 14:21:54

2011-03-15

犠牲の規模と原子炉メルトダウン

希望的観測は両者において見事に裏切られた。
地震・津波による犠牲者は1万5千人と見積もられ、45万人が家屋から追い出され避難生活を余儀なくされている。

原子炉メルトダウンは一部の人々の予想通りのことが現実化しつつある。
東電・官僚・政府の事態への対処と国民への情報開示において、呆れるほどのレベルの低さが明らかになった。

官邸・東電・マスコミ一体となった真実隠しと人々への蔑視は許されることではない。まるで根拠のない安心神話を振りまいた。実態からかけ離れた認識は目の前の現実から逃避しているかのように思われる。専門家であるはずの原子力保安院たちの杜撰なデータの見方、不理解。東電は当事者であるにも関わらず、ずっと政府の陰に隠れて記者会見さえ開かなかった。

大衆は、保守化・無知化して,、本来持っていた生活智さえなくした浪花節的世界の住人のようである。理性的判断はできず、リテラシーに著しく欠けている。こんな人々は日本で初めて生まれたのではないか。
職人的・職業的な肉体化された知恵や生活智に満ちていた人々はもういない。薄っぺらな人達ばかりである。

東電を含めた官僚達は人格が欠落している。多くの東大教授はごまかしの名人で、本質的な智を欠落した知的テクノクラートだ。官僚・経済人と全く利害が一致しており期待された専門家としてのアドバイザー的存在からはほど遠い。

またマスコミの悲惨さと言えば言葉を待たない。会見相手の言葉も理解できない人達だ。それが証拠に愚にも付かない質問しかできないし矛盾した説明をされていても無理解のせいでスルーしてしまう。ただのタイピングマシーンなのだ。まさかここまで馬鹿揃いとは思わなかった。

メルトダウンは官僚・東電・マスコミに起きている。

2011-03-14

浄土ヶ浜 田老

40年前彼の地を訪れた。名の通り浄土ヶ浜は静かな佇まいを見せ、海猫ばかりが騒がしく飛び交っていた。二両編成の列車に乗りその日宿泊する田老へと向かった。
この辺りはリアス式海岸で、断崖に間近にせまる海が美しい。
田老は人口の少ないとても静かな漁師町だった。目立っていたのは仰ぎ見るような防潮堤だった。聞くと何度も津波に襲われてその対策だという。なんと大げさなと思ったが、崖に記された津波の記録は遙か仰ぎ見るところに記されてあった。

その田老も宮古の浄土ヶ浜も、壊滅したという。
恐れていたが、今頃そのことを知って、泪が止まらない。

ただ、旅の思い出がある私でさえそうなのだ。
そこに生活する人々は、縁のある人達の思いはいかばかりのものかと、知る。

今はただ 合掌 南無阿弥陀仏






大きな地図で見る

震災写真集 LosTimes

Scenes of destruction in aftermath of the Japan earthquake

訴求力のある写真達。

日本にもいいカメラマンはいるだろうが、いいデザイナーはいない。
このようなセンスの良いWebページが日本にはない。
マスメディアはあまりにセンスがなく、官邸はさらに悲惨。

東北大地震の衝撃

おそらく私たちの想像力はこの巨大地震による影響を捉え切れていない。どうしても過去の経験に引き摺られ、神戸や中越地震の経験でしか物事を捉えきれないのだと思う。

それらの事態を遙かに超えた現実が起こっており、私たちにはまだ見えていない。町が壊滅したことが何を意味するのかが実感として分かっていない。
原電メルトダウンに関しての想像力の欠如により、政府の対応は呆れるほど鈍く、一般の人々もまた政府と同じレベルだ。
非常事態に対処するためには現実を直視し、悪いケースを考えAlternativeプランを事前に用意しておく必要があるが、そのようなプランがあるようには思えないし、あまりにオプティミスティックな現実把握しかしない政府には期待できないし、東京電力の嘘をつき続けた体質からも政府以上に期待できないのは明らかだ。東大の教授陣は彼らとつるんだ人間しかいないのがテレビの解説からもよく見えてきた。

宮城県での死者予想が1万人を越えると報じられている。私はその数字が楽観的に過ぎないことを祈るばかりだ。

巨大な余震が数日以内に起こる可能性が高いと気象庁は予測した。その地震と原電危機と結びつけて考えてみる人はいないのだろうか?それでは巨大地震と原電危機を「想定」しなかった3.11以前の思考方法と同じじゃないのか?

2011-03-12

東北・太平洋沖地震、映像まとめ



TBSの映像です。

燃料溶融 福島原発メルトダウンの危機

福島原発に関する官邸情報のスクリーンショット→ http://t.co/KlHQQdj
3/12 00:30官邸対策本部資料


政府資料によれば圧力放出の前に燃料の溶融が生じるとしている。すでに圧力放出方針が発表されている。燃料溶融とは何か Wikipedhiaによると→                                                                                     概要 [編集]

稼動している原子力発電所では、基本的に炉心内における核反応臨界に達し発熱しているが、これは設計上想定されている範囲であれば問題はない。しかし事故などによって冷却材を喪失し制御を誤るなどすると、炉内の核反応は暴走し、この反応に伴って発生する高熱によって、炉内の温度が急激に上昇して燃料集合体を融かし破壊する。高温により原子炉圧力容器等の隔壁の融点以上となった場合や水蒸気爆発等により放射性物質が外部に漏れるおそれがある。

核燃料の溶融 [編集]

炉心内の核燃料は、原子核分裂に伴なう崩壊熱を常に出しつづけている。原子炉は冷却材を循環させて熱を外部へ運び出し、炉心内の温度を一定に保っているが、何らかの事情で冷却材の喪失、または循環が停止すると、核燃料は自身が発生する熱で溶融し崩壊する(冷却材喪失事故、Loss OCoolant Accident 、LOCA)。また運転中の原子炉へ急に大きな正の反応度が投入されると、原子炉出力が急上昇し、冷却材の熱運搬能力を上回る発熱が生じて、核燃料が崩壊する(反応度事故、ReactivityInitiated Accident、RIA)。
核燃料は燃料被覆管に入れられているが、多くの原子炉で燃料被覆管に用いられているジルカロイ合金は1,400で溶融を始め、溶融した核燃料と共に原子炉圧力容器の底へ溜まり始める。被覆管が破損することで被覆管内部に封じられていた核分裂生成物が周囲に漏れ出してゆく。この間も核燃料は発熱を続け、やがて原子炉圧力容器をも溶かして外部へ漏出し、大量の放射性物質が漏れることになる。
高熱の溶融金属が冷水と接触すると、大量の水蒸気が爆発的に発生して、周囲を破壊することがある(水蒸気爆発)。また高熱のジルカロイ合金は水から酸素を奪って酸化し、水素ガスを発生させるが、これが何らかの理由で引火すると爆発を起こす。




NYTimes 3D画像 内部まで立体画像が描かれていて本物をイメージしやすい  
      画像へLink



2011-03-11

This is a Class War": Michael Moore

"This is a Class War": Michael Moore Calls for Renewed Pro-Democracy Movement as Anti-Union Bills Approved in Wisconsin and Michigan
As Wisconsin Republicans passed Gov. Scott Walker’s anti-union bill in the State Senate, a bill in Michigan goes even further. In the measure, emergency financial managers would be allowed to break union contracts, dismiss elected officials, and even disincorporate entire municipalities. Michigan Senate Republicans approved the bill yesterday, and protests are expected in the Lansing State Capitol building today. We speak to filmmaker Michael Moore. “[This] is a class war on the people,” Moore says. “I think that the whole world has been inspired by what happened in Tunisia and in Egypt and throughout the Middle East. And while their problems are different than ours, the spirit is the same. And we need a pro-democracy movement in this country, badly, right now.” [includes rush transcript]

これは階級間の戦争だ。チュニジア・エジプトそして中東から全ての世界がインスパイアーされている。問題は違えど精神において同じです。この国において民主主義の運動が要請されているのです。…マイケル・ムーア
(ウィスコンシンとミシガンで法案が決議されたことに関して)

法案の概略 Factbox: Details of Wisconsin's anti-union measure | Reuters: http://reut.rs/i4Loyd
①年金・保険負担アップにより実質収入8%ダウン
②公共部門団体交渉権の制限
③組合費代行徴収の禁止など
④代替案として10,000人レイオフ
⑤警察。消防署員組合活動制限

2011-03-10

大学世界ランキング東大- 8、京大-18、阪大-50 ??

World Reputation Ranking Top 50
東京大学が8位ということで、なんとベスト10に入っているのか、いや確か記憶では日本の大学ランキングは散々な順位ではなかったのか…と確かめてみた。
 「The Times Higher Education World University Rankings 2010-11 」 によれば Tokyo (26), Kyoto (57) and Tokyo Institute of Technology (joint 112).…まさに記憶と一致する。
 これは単に日本に自信を無くさせるのはまずいと、下駄を履かせたのではないのかと疑ってしまう。格付け会社のランキングと同じく日本にもその市場を拡大しようとする下心が見えるというものだ。(イギリスにも配慮しているように見える)

 しかし何もかも数値化して計量しないと納得しない病が世界中に蔓延してしまった。このランキング機関の狙いは明らかで、大学のブランディングである。大学も商品と同じ価値観(お金)で換算計量され、学費にも反映させ求職時のメジャーにも使おうとするものだ。

 お金で物事を換算しようとするこの原理はグローバルに貫徹する力が働いてくる。中国も日本もイスラムの国の大学も一つの物差しで計量しないと気が済まないのだ。


 こんな記事を拾う私もまた彼らの手の内に落ちたと云うことだろうか。


2011-03-09

外務大臣の辞任は日本の指導体制の空洞化を生じる

アメリカの保守系有力シンクタンク「ヘリテージ財団」の記事を紹介します。
Foreign Minister’s Resignation Compounds Japanese Leadership Vacuum
Posted March 8th, 2011 at 10:00am in American Leadership AUTHOR:Bruce Klingner

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前原氏は民主党の中で外交政策を最も真面目に考えている人です。おそらく数ヶ月以内に菅直人と交代するであろうという期待が大きくなろうとしていたその時に離任することになりました。
日本の世論調査では前原をもっとも可能性のある候補と見なしていました。
何人かの日本の高官は個人的な見解として前原がこの五月にワシントンで開かれる2+2会議に外務大臣として出席し、6月のオバマ大統領との首脳会談では首相として出席するのではないかと推測していました。

米国は、どのような外務大臣に対してもするような決まり文句以外の見解を前原の辞任に対しても公式には出さないでしょう。
しかしワシントンは腹の中では、前原が貢献した沖縄の米軍再編計画の実施、および民主党の安全保障政策の今後への潜在的なインパクトについて心配をし続けるでしょう

Maehara is the Democratic Party of Japan’s (DPJ) most serious thinker on foreign policy.  His departure is all the more startling since there were growing expectations that he would replace Naoto Kan as prime minister, possibly within months. Several Japanese polls showed respondents saw Maehara as the most capable of potential candidates. Some Japanese officials privately speculated that Maehara might attend the 2+2 meetings in Washington in May as foreign minister and then return for a June summit with President Obama as prime minister.


The United States will not respond publicly to Maehara’s resignation other than platitudes about being able to work with any foreign minister. But privately, Washington will be concerned about the potential impact on implementing U.S. force realignment plans on Okinawa, which Maehara championed, and the future course of DPJ security policies.
記事抜粋 翻訳 by manomasumi
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記事全体を通して前原氏に対して驚くほど同情的でまた強い期待が米国の一部にあることをよく示しています。菅氏への期待は少なく小沢氏への警戒感もあるようです。

政権交代直後に日本の安全保障政策に強い懸念を示していた記事のURLを参考までにリンクしておきます 
Japan: America’s Reluctant Ally 2009-10-23 
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孫崎享氏コメント:March 9, 2011 8:48 PM Twitterより
夕刊ゲンダイ「前原を擁護する大マスコミ報道の奇々怪々」
「新聞報道には驚きましたね。法律違反は明々白々なのだから責任取るのは当然。金額の多寡ではないでしょう。『国益をそこなう』といった報道もありますが、そもそも彼の外交が国益を損なうもので、手腕は評価できません。
TPPやあらたな日米安保などについて、なんらの国民のコンセンサスを得ないまま次のステップに移ろうとしていた。ジャパンハンドラーにとってはいい政治家でしょうが、国民にとっては必ずしもそうではない。日本のメディアは米国重視だから、親米はに対しては”擁護論”になりやすいのです」

2011-03-07

文藝春秋 前原軽率発言

2011年3月7日20時40分 asahi.com

前原氏が次のようにのべていることが分かった
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2011年3月7日20時40分 asahi.com http://goo.gl/FMbiY
「解散、日本のためになる」 前原氏が2月、月刊誌に (注:文藝春秋)
    
解散があった方が日本のためになる」。外相を辞任した前原誠司氏が、10日発売の月刊誌「文芸春秋」のインタビューで、解散・総選挙の必要性を訴えていた。
インタビューが行われたのは、献金問題が発覚する前の2月。前原氏は解散について「外れることもある嗅覚(きゅうかく)だが」と断ったうえで可能性に言及。さらに「外交はやはり首脳外交でなければ進まない。外相レベルで領土問題や沖縄問題が前進するなどあり得ない」と、首相への意欲もにじませていた。
民主党内では、低支持率にあえぐ菅直人氏から前原氏に「首相の顔」を代えて解散に打って出るシナリオがささやかれていた。前原氏自身も自らの手で解散に踏み切るケースを思い描いていたのかもしれない。
インタビューでは外相として、3月19日から予定される日中韓外相会談を「まずは成功させなければならない」と意気込み、尖閣問題で緊張した中国にも「ぜひ早い時期に行きたい」と関係強化に意欲を示していた。
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さらに産経では
【前原外相辞任】前原氏、月刊誌で「ポスト菅」意欲 辞任前のインタビュー+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
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(masumi)
まさか5万円献金問題で辞めるわけはないと思っていたが…総理への意欲満々。なるほどこういうことを考えていたのか。それをこの時点で表明しているとは…。馬鹿でなければ、奇々怪々。
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 田中康夫 (3-7 8:00am頃) Tweet

もう一点、「前原氏は政権を守る為に首相に身を預けるより、将来の宰相の芽を残す道を選んだのだ」「野党は別の政治資金を巡る問題も追及する構えをみせていた。無理に続投すれば傷口を広げ、政治生命さえ失いかねない」と無批判に口先番長の口先逃れを”擁護”する「朝日新聞」はナンジャラホイ!
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辞任後の解説 (副島隆彦)
副島隆彦氏のブログによれば、ヒラリークリントンが前原を米国に招きジョーバイデン副大統領とも食事をさせた。(これはニュースでも報じられたとおり)この時に彼らは前原の能力を見限り 、中国からも抗議が出てアメリカが前原を切ったと云う説である。
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//これはにわかには信じがたい。どだい前原氏以上の人材など日本にいないことは彼らは認識しているはずだ。分かっていないなら、彼らもまた人を見る目のない大馬鹿のはずである。1月の訪米は顔見せセレモニー(次期候補認証式)であったと見る方が素直な見方だと思える。前原には秘密を隠しておけないクセがある。外交上知り得た情報を的外れなタイミングで、的外れな場所でばらしてしまうことがこれまでも何度かあったではないか。顔見せ後マスコミ達は前原一人だけ叩かなくなったし、本人の尊大な態度も見えてきた。
そこへ文藝春秋=自爆である。自爆を庇ってやるほど米国はお人好しではないので、あっさり見捨てた、のではないだろうか?
(この手のことは真実は表に出てこないので推論は自由なので、仮説をおっ立ててみました。)

BBC国別好感度調査で日本は4位と高順位

元データ BBC World Service 2011-03-07 http://goo.gl/sNhPx

BBCによる国別調査で好感度No1はドイツ。2位イギリス。3位カナダに続いて日本は4位。意外と健闘しているではありませんか。

日本の影響について国別に見ると、中国からは好感を持つ人の割合が18%に対して否定的な人の割合が71%と圧倒的にネガティブイメージとなっている。調査時期が尖閣事件後の12月ですからやむを得ないところかも知れません。ただ近隣国から嫌われていることは安全保障面・経済面からみても好ましいことでは無いでしょう。外交面の努力も必要でしょうが、日本の民度も試されているのではないでしょうか。




































Japanese foreign minister Maehara resigns amid donation flap

By Chico Harlan
Washington Post Foreign Service 
Sunday, March 6, 2011; 10:51 PM  http://goo.gl/K029I  部分訳(by manomasumi)

在日韓国人から違法な献金を受けていたことを認めた、たった二日後にサプライズ的に辞任したことは、国内的にまた最も近い同盟国の両方に対して日本が直面している問題を増幅させる。タカ派の前原氏は、彼をアジアの国々の共同的安全保障の提唱者とみなしているオバマ政権当局者の間で人気があった。前原氏はしばしば政治評論家に将来の総理と云われていた。スキャンダルからも遠く端的に言えば日本で最も約束された指導者の一人だった。

前原氏はまた北朝鮮問題や中国の軍備増強に対処する民主党のキーパーソンでもあった。前原氏はその二つの問題についてクリントン国務長官と一月の会議において討議している。このクリントン国務長官との会議は4ヶ月で4度目の会議でもあった。

Maehara's surprise resignation, coming just two days after he acknowledged receiving illegal donations from a South Korean living in Japan, amplifies the problems Japan faces both domestically and with its closest allies. The hawkish Maehara was popular among Obama administration officials, who viewed him as an advocate for the countries' shared security interest in Asia. Maehara was often described by political analysts as a prime minister-in-waiting, and the scandal sidetracks, at least briefly, the aspirations of one of Japan's most prominent leaders..

Maehara also was the point man for the DPJ's efforts to deal with concerns over North Korea and an increasingly militarized China. Maehara discussed both issues during a January meeting with Secretary of State Hillary Rodham Clinton. It was his fourth meeting with Clinton in four months on the job.

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ワシントンポストのこの記事からみても、米国内での前原誠司の評判は良かったようである。

2011-03-06

孫崎享氏 国際関係Twitter論評 

米国の対日防衛 2011-3-4

米国の日本防衛1:強大化する中国軍の下、日米関係はどう変わる。一つは日米共同で中国に対応。これは多くの人の思っている路線。今一つは米国撤退。理論的には充分ありうる選択。フォーリン・アフェアズー誌3/4月号GLASER論文この点言及。注目される。(1)中国勃興は21世紀の最大事件
posted at 08:11:40
米国の日本防衛2:〈2〉対応は楽観的リベラルと悲観的リアリストで分かれる、(3)リベラルは現体制組み込みに米中共に利益感じ実現可能、リアリストは米中いずれ対決と判断、(4)危険は米中より、北東アジアの2義的重要性しかもたない紛争から、(5)対立構造の中、敵対国が安定なら
posted at 08:17:17
米国の日本防衛3:自分自身もより安定へ。敵対国が不安定なら、この国をより脅迫的政策へ追いやる、よって緊張高まる(5)米中関係で見れば基本構図は良好。米中双方、相手に脅威を与えることなく自己の重要利益達成可能、(6)米国、米国への中国核攻撃に対する十分な抑止力保持、米中の間に太平洋
posted at 08:19:57
米国の対日防衛4:中国軍米大陸攻撃なし。中国も同様。早晩、核分野で中国、抑止力保持。米軍の中国大陸侵攻の可能性小 (7)問題は日本、朝鮮半島。太平洋での同盟が米国の安全にどれ だけ重要かの問題あり、(8)中国勃興は太平洋での同盟の利益とコストの論議に導く、
posted at 08:21:11
米国の対日防衛5:(9)米国自己の軍事力、地理、核で安全。一部グループは欧州、アジアとの同盟は不必要で危険であり同盟終わらすべしと主張。同盟国守ることは米国が中国と不要の緊張にと主張する。中国の勃興は米国の安全を脅かさないが、米国の同盟維持は米国の安全を脅かす結果に。
posted at 08:22:31
米国の対日防衛:GLASER論文の一部抜き出し。従って同氏の主張そのものでない。米国内では「中国台頭。この中で日本防衛のため中国と軍事的対峙はマイナス」との評価は常に存在。特にリアリストと呼ばれるグループではある種論理的必然。日本では米国必ず助ける信仰が強い中、この種論議、要参考

米国の対日支援 2011-3-6

米国の対日支援1:理論面で米国、中国との関係で、対応は楽観的リベラルと悲観的リアリストで分かれ、対日軍事支援しない可能性指摘のGLASER論文を29日紹介。 純軍事面で米国介入が難しくなっていく点列挙(すでにツイッター済み整理)(1) 核抑止困難。中国が米国を大規模に  
posted at 08:47:59
米国の対日支援2:核攻撃出来る能力有する時には、米国の「核の傘」消滅。 (2) 中国の大量の中距離・短距離弾道ミサイル、クルーズミサイルが在日米軍基地攻撃能力を有す。この防衛は基本的に極めて困難。その時米軍戦闘機無力化へ(3)中国が2025年までにステルス機能を持つ次世代
posted at 08:50:02
米国の対日支援3:戦闘機約200機を配備の可能性(日本現在ステルス戦闘機保有の計画無し) (4) 中国、対艦弾道ミサイルの配備。性能向上すれば米空母キラー。米国中国近海の配備困難に。(5)中国は8隻から10隻の原子力潜水艦と50-60隻の潜水艦(日本16隻から22隻になる見通し。
posted at 08:51:58
米国の対日支援4:日本周辺の米国潜水艦数は数隻。  現時点技術的遅れはあるもロシア協力。米国も軍事転用可能な民間協力促進。EUも協力の可能性。一気に技術開発進もう。日本人の多くは米国が日本を軍事的に助けるのは問題ないと判断。しかし中国軍事大国化する状況下、米国支援次第に困難に
posted at 08:55:53