Robert J. Geller
Nature (2011) doi:10.1038/nature10105
Published online 13 April 2011
Link:http://diigo.com/0go66 抄訳:manomasumi
1)日本政府は地震予知が信頼できるレベルにはないことを認めるべきだ。
2)人々をミスリードする言葉である「東海地震」は止めるべき。
3)1978「大規模地震対策特別措置法」は廃止すべきだ。
流布されているハザードマップ(確率的地震予測地図)は間違ったパラメーターを使っている。
今まで一般的に理解されている仮説的シナリオによれば最も危険なゾーンは「東海・東南海・南海」とされている。しかし1979年以来実際に大きな災害に見舞われたのは比較的確度が低いとされてきた地点に起こっている。
(今回の311東北沖大地震は、最も確率が低いとされていた県庁所在地を襲っている…以下括弧内は訳者挿入)
これから分かることはハザードマップやその元になった手法は不完全で使えないものだということだ。
もしグローバルな地震学や東北の歴史的記録が考慮されていれば、時間や地震中心やマグニチュウドが特定されないとしても一般的な意味で「311東北地震は」想定内の事柄だった。
「東海地震」は最も危険度が高いとされた1975年から既に30年以上経つがまだ起こっていない。「地震の空白域仮説」は現実のテストによって反証された。キャッチアッププロセスは定期的にも周期的にも起こらないことを今では私たちは分かっている。
マスコミによっても「東海地震」はあたかも現実のもののように取り扱われてきた。このような宣伝によって東海地震は時計の針が<マグニチュード8>に向かって動いているように確実なものであるかのように人々を信じ込ませてきた。
70年代には既に地震前駆現象によって地震予知が可能であるという仮説ブームは死に絶えた
日本では東海地震が予知可能な地震とされているように見えるが、根拠がない。
(有害で無益な気象庁から学界、マスコミを含む地震予知システムがどうして30年以上にわたり維持されてきたのか)
①研究者達が色んな形で共同作業をしている。財政的や同じ学界に属しているとか)②政府の決定は形式的に審議されているが、そのメンバーは官僚の指名で占められている③論理的な批判はマスコミに無視され取り上げられない。④科学的な知識のないレポーターを通じて政府見解が記者クラブ制度によって直接メディアに流される。⑤東海地震予知に法的な拘束力があると主張できること。
今や人々に対しフランクに①地震は予知できるものではないこと②東海予知システムはスクラップすべきこと③大規模地震対策特別措置法」は廃止すべきことを知らせるべき時なのだ。日本の全ての地域が地震のリスクにさらされており現在の地震学では特定地域の地震予知はできない。
Robert J. Geller is in the Department of Earth and Planetary Science, Graduate School of Science, University of Tokyo, Tokyo 113-0033, Japan.著者は東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻教授(初稿では地震学としていたので訂正します)
*その後ご本人の訳でNature アジア版 「日本の地震学 改革の時」が公開されています。ご本人の訳なのでそちらが正しいのは100%ですが、あえて訳は初稿のまま訂正しないで残しておきます。(23:20)
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(ここでも、原子力村と同じ相似形のシステムが現れる。官僚(気象庁)・学界・マスコミ・業界一体の日本的エスタブリッシュメントシステム=既得権益グループ。ここでは地震予知ムラとでも云っておくべきか。防災が重要なだけに特定のムラに食い物にされて歪められるのもまた相似だ)
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