2011-04-01

自然災害に絞って原発立地問題を考えてみた

「自然災害に絞って原発問題を考えてみた」

原子炉の安全を担保するのは確率的安全評価手法です。事故が現に起こった以上、今までネグレクトしてきた津波や地震への災害対策の基準を上げざるをえません。原子炉に関わるリスクの基準を安全側へ上げ、ある程度経済性を犠牲にして、新技術を導入し、また設備の増強を行って個別単体の原子炉の安全を高める必要があります。それでも災害はある確率で起こるわけで、日本各地の自然災害によって引き起こされる原発事故のリスク評価が日本トータルでなされなくてはいけないでしょう。

日本では地震・津波・火山による災害リスクが他国に比べ著しく高いことは自明です。住民の反対が少ない開発者にとって作りやすいところに立地するという安易な思考は断ち切り、災害リスクを下げるための立地戦略がこれからは欠かせないと云うことです。



「311災害が教えること」 参考YomiuriOnLine

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311災害では一つの自然災害で同時に11機もの原子炉が緊急停止にいたり、そのうちの4機が同時に同じ地域でシビアアクシデント状態にまで至りました。しかし、なぜ集中して起こったのでしょう。避けることはできなかったのでしょうか。
例えば、分散配置されていれば、一機だけの事故で済んでいたかもしれないし、それなら事故対応の戦力も集中できたかもしれない。一機だけならと、廃炉にする決断も早くできたかも知れません。
これらは経済性優先で安全を視野から遠ざけていた暗愚な者の暗愚な知恵のなせる技だとおもうのです。
この大災害によって日本の原発を推進してきた組織(行政機関・企業体・各種委員会・学会)の中のどれ一つをとっても、本気で事故を想定したところはありません。安全保障や危機管理の戦略思考は無いし、また対処能力も無いことも証明されてしまいました。場当たり的な思考しか無いし、それ以外の考え方は望まれないのです。今の日本に原子炉を持つ資格がそもそも無いのかも知れません。

 私の住んでいるところからほど近い若狭湾沿いの狭い地域に15機もの原子炉が配置されています。例えばその一つ敦賀原発で地震と共に何かの事故が起きると、地形から見ても陸路は地震による崖崩れによって遮断され、ロジスティックも要員の派遣も著しく困難になるだろうということは容易に想像されます。火災が発生すれば鎮火が難しくなる可能性があります。複雑なパイプラインが折れ曲がり切断し、1000個にも及ぶ弁の幾つかが開閉できなくなる事故が一つの地震で多発するリスクが、密集立地しているからこそ高まってしまうと思います。戦略的な思考から離れて、原子炉単体の安全に拘っていては日本の原子炉全体が持つリスクを評価することはできません。

自然災害リスクを考えるだけでも、経済性に見合った原子力発電はほぼ成り立たないというのが、今のところの私の結論です。
立地地点の分散はそのまま多地域のより多くの住民の合意を得なければならないことになり、新規立地の困難さを増すことになります。送電網や管理を考えても分散立地は経済性を削ぐことになります。

加えて使用済み燃料の問題があります。これは何世代にもわたって継続するやっかいな事柄です。安全性を確保する経済的な手段はほぼありません。分かっていながら未来に問題を繰り延べているだけだと思います。(それにしても、さも簡単にできると語る人達が、随分大勢いるものです) (参考リンク 使用済燃料の理解のために)

「地震予知はそもそも可能か」
平成18年(2006)の地震予測を見ると今回大地震が起きた地域がもっとも地震が起きる確率が低いことになっています。地震予知学は科学の装いをした占星術でしか無いという欧米の学者の言うことが結果として当たっていたことになります。

一方浜岡原発のある東海地方ははなんと80%以上の確率で地震が起こるとされているのです。日本のどこに原発の適地があると言うのでしょうか。

以上素人考えを披露してみました。 (masumi)

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