2011-03-09

外務大臣の辞任は日本の指導体制の空洞化を生じる

アメリカの保守系有力シンクタンク「ヘリテージ財団」の記事を紹介します。
Foreign Minister’s Resignation Compounds Japanese Leadership Vacuum
Posted March 8th, 2011 at 10:00am in American Leadership AUTHOR:Bruce Klingner

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前原氏は民主党の中で外交政策を最も真面目に考えている人です。おそらく数ヶ月以内に菅直人と交代するであろうという期待が大きくなろうとしていたその時に離任することになりました。
日本の世論調査では前原をもっとも可能性のある候補と見なしていました。
何人かの日本の高官は個人的な見解として前原がこの五月にワシントンで開かれる2+2会議に外務大臣として出席し、6月のオバマ大統領との首脳会談では首相として出席するのではないかと推測していました。

米国は、どのような外務大臣に対してもするような決まり文句以外の見解を前原の辞任に対しても公式には出さないでしょう。
しかしワシントンは腹の中では、前原が貢献した沖縄の米軍再編計画の実施、および民主党の安全保障政策の今後への潜在的なインパクトについて心配をし続けるでしょう

Maehara is the Democratic Party of Japan’s (DPJ) most serious thinker on foreign policy.  His departure is all the more startling since there were growing expectations that he would replace Naoto Kan as prime minister, possibly within months. Several Japanese polls showed respondents saw Maehara as the most capable of potential candidates. Some Japanese officials privately speculated that Maehara might attend the 2+2 meetings in Washington in May as foreign minister and then return for a June summit with President Obama as prime minister.


The United States will not respond publicly to Maehara’s resignation other than platitudes about being able to work with any foreign minister. But privately, Washington will be concerned about the potential impact on implementing U.S. force realignment plans on Okinawa, which Maehara championed, and the future course of DPJ security policies.
記事抜粋 翻訳 by manomasumi
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記事全体を通して前原氏に対して驚くほど同情的でまた強い期待が米国の一部にあることをよく示しています。菅氏への期待は少なく小沢氏への警戒感もあるようです。

政権交代直後に日本の安全保障政策に強い懸念を示していた記事のURLを参考までにリンクしておきます 
Japan: America’s Reluctant Ally 2009-10-23 
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孫崎享氏コメント:March 9, 2011 8:48 PM Twitterより
夕刊ゲンダイ「前原を擁護する大マスコミ報道の奇々怪々」
「新聞報道には驚きましたね。法律違反は明々白々なのだから責任取るのは当然。金額の多寡ではないでしょう。『国益をそこなう』といった報道もありますが、そもそも彼の外交が国益を損なうもので、手腕は評価できません。
TPPやあらたな日米安保などについて、なんらの国民のコンセンサスを得ないまま次のステップに移ろうとしていた。ジャパンハンドラーにとってはいい政治家でしょうが、国民にとっては必ずしもそうではない。日本のメディアは米国重視だから、親米はに対しては”擁護論”になりやすいのです」

1 comment:

manomasumi said...

孫崎享氏コメント:夕刊ゲンダイ「前原を擁護する大マスコミ報道の奇々怪々」
「新聞報道には驚きましたね。法律違反は明々白々なのだから責任取るのは当然。金額の多寡ではないでしょう。『国益をそこなう』といった報道もありますが、そもそも彼の外交が国益を損なうもので、手腕は評価できません。
TPPやあらたな日米安保などについて、なんらの国民のコンセンサスを得ないまま次のステップに移ろうとしていた。ジャパンハンドラーにとってはいい政治家でしょうが、国民にとっては必ずしもそうではない。日本のメディアは米国重視だから、親米はに対しては”擁護論”になりやすいのです」