2012-11-17

PV『桜流し』 宇多田ヒカル


 汚れをぬぐいさり、色を鮮やかに、…アフターイフェクトを施し、作り込まれ加工されたものから離れ、ドキュメンタリータッチのざらついた生々しさを訴えてくる映像を、宇多田ヒカルは選びとった。
 普通に思い浮かべると、彼岸花の赤は鮮やかだし、産まれたての赤ん坊も晴れやかで瑞々しいピンクの肌色をしている。しかし、ここでは、私たちが頭の中に思い描いてしまうようなをイメージを、PVの映像は、薄汚さ(うすぎたなさ)の方へつまり現実の方へ、あへて裏切っている。映像作家が河瀬直美だと知って、ふむなるほどと思う。私たちに埋め込まれた幾重ものフィルターを、ここはいっぺん外してみようよ、と宇多田ヒカルは私たちを誘っているのかもしれない。
 彼岸花と赤ん坊。赤ん坊が母親の指を握りしめる仕草。臍の緒の切断。
これらのイメージの絵解きは、…やめておくのが賢明だろう。

こちらの方に映像はある
http://gigazine.net/news/20121117-evaq-sakuranagashi/



《 桜流し 》

 聞いたばかりの花が散るのを
 「ことしも早いね」と
 残念そうに見ていたあなたは
 どう思うでしょうあなた無しで生きてる私を

 Everybody finds love
 In the end

 あなたが守った街のどこかで今日も響く
 健やかな産声を聞けたならきっと喜ぶでしょう
 私たちの続きの足音

 Everybody finds love
 In the end

 もう二度と会えないなんて信じられない
 まだ何も伝えてない
 まだ何も伝えてない

 開いたばかりの花が散るのを
 見ていた木立の遣る瀬なきかな

 どんなに怖くたって目を逸らさないよ
 全ての終わりに愛があるなら


  Music by Utada Hikaru and Paul Carter
  Words by Utada Hikaru

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