2012-12-26

安倍自民党の圧勝と日本の右傾化

2012.12.17

 2012年12月16日の総選挙において、安倍自民は単独完全過半数を獲得し、民主党から政権を奪い返した。連立を組む公明党と合わせて320議席ほどの再議決可能議席も確保した。
 しかし、この獲得議席はほぼ小泉郵政選挙と同じであり、また事前に想定されていたという意味でも当時ほどの衝撃はない。また、国会内における政治情勢は民・自・公の三党合意=事実上の大野合が成立した時に完成されている。「新保守+新自由主義」による政権である。

 この政治潮流の危惧すべきところは、日の丸の旗で囲まれることを好む党首=首相安倍を産んだ国家主義的な右翼体質である。個人の基本的人権を認めず、政治・思想・結社・表現の自由を制限しようとする、片山さつき的な民衆の主権から国家主権へ移そうとする強権制を志向する政治体質である。外交においては排外主義・民族主義、軍事への傾斜である。

 烏合の衆とは、この三年間に見た民主党の国会議員達のことである。彼らは政権幹部たちの道具として、党内政策論議の輪の中の人格としての議員ではなく、(幹部によって)決められたあとの与党議案を可決させるための(人格を剥奪された)単なる一票としてしか扱われていない。解散・総選挙によって政権の失政の結果責任をすべて負わされ、愚かにも国会議員職から追われた。

 先に、三党合意による連立がなった時に右翼連合の政治潮流が決まったと書いたが、しかしこの総選挙の日は右派的な政治潮流を国民が選び取ったという意味で、メルクマールとして重要な節目として記録されていい。もちろん国民がその愚かさを発揮した日として。

 日本をめぐる極東地域において、ちっぽけな島をめぐる領土問題を除いてさしたる国家関係の緊張感も未だなく、経済環境においても①社会的格差=貧富の差が拡大・固定化されつつあるとは言え失業率などが危機的状況にまで沸騰しているとは言えず②財政もまたギリシャやEUのラテン諸国ほどただちに緊縮財政を強いられるほどではない。つまり国民は、危機をバネにした選択ではなく、社会的・経済的危機を先取りして、能天気な右翼を選び取ったのだ。安倍や石原が酔うほどの切迫感も、熱情も大衆の間に広がっているようには、僕には感じられない。

 とは言え、40歳より若い世代の視点からみれば、情勢はいささか違って見える。彼らが政治的アパシーを越えて右傾化する社会的な土壌があるように見えるのだ。

 Twitterには何度も書いているが、野田時代に始まった政治状況を「大政翼賛社会2.0」と勝手に呼んでいる。

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