未成熟の延命 「ギンガムチェック」 AKB48新曲
卒業を宣言した前田敦子は選抜総選挙を欠席したのだから、このAKBの新曲にはもちろんでていない。前田敦子の存在感が、非在であることで、浮き立った。メンバーの中でそれほど飛び抜けた存在とも思っていなかったのだけれど、前田敦子がこれまでずっとセンターを張っていたのにはちゃんとした理由があったのだ。
AKBファンの男どもは、(AKBフリークでないと意味は分からないだろうが)この新曲を乃木坂曲だと云っている。ある意味正しい。この曲の衣装であるギンガムチェックの少し長めのスカート丈は、彼女たちが短いスカートだけが似合う「少女アイドル」ではなくなっていることを表している。メロディーラインも曲想も、ボクちゃんたちにとってはちょっと大人メ、上メなお姉さま視線が感じられる。
前田敦子が卒業すると云うことと、選抜一位に返り咲いた大島優子センターの曲がギンガムチェックであることは密接に結びついている。女子が男子より早く成熟することが世の常であるように、 AKBのメンバーはより早く成熟し、ファンの男のこたちはAKBに成熟度において取り残された。彼らおとこのこは本当はAKBを卒業していくべきなのに、卒業できずにいる。彼らは熟そうとしない未成熟な雄花たちだ。
脱皮を繰り返すことによって成熟するのではなく、成熟を外へ排出し、若さを保つ魔法、それがハロプロが開発した「卒業」という儀式だった。中学生が卒業を通過して高校生になるように、個人を主人公にすれば「卒業」は脱皮と成熟を意味するのに、学校を式をする主体に転倒させることによって、「卒業」を成熟を排除する場に意味転換=換骨奪胎し、未成熟の価値に目を向けさせ、グループの未成熟の延命に成功した。アイドルビジネスにとっては画期的かもしれない。文化的背景が違う個人主体の米国では、人を入れ替えることでグループを延命させるこの手口がすんなりとは受け入れられないだろうが、でも装いをかえてこれをまねようとする者が出てくるかもしれない。
大島優子が卒業意向をうっかり口にしたように、20歳を超えた者たちをAKBにとどめておくのは難しいだろう。
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